タクは、いつも無愛想だけど、ちゃんとこういう所に気がついてくれる。


「俺、手作りが良かったんだけど」


私は顔が赤くなって、俯く。


「…それに、義理チョコは欲しくないし」


タクはまだ私の手を握ってる。


小さな声で言う。


「…手作り、だよ」


「うん」


「…それと、義理じゃなくて、本命だし」


「…聞こえない」


私はタクの方を見て、大きな声を出す。


「だから、タクが本命なんだって!!」


タクは、いつものように、優しい顔で笑う。



「…俺も、お前が本命」