俺は時計をちらっと見る。
そろそろ時間だ。アイツは時間に遅れるとうるさいからな…。
「ケンタ、俺帰るから。お前、日直じゃなかったのか?」
「あ、そうだった!
日誌置いてくるって、葵に言っといてくれな!」
ケンタと別れて、ユカの教室に向かう。
…またユカの声が廊下まで響いている。
全く…なんでいつもアイツの声は無駄にデカイんだ?
存在感有りすぎなんだよな…。
俺は、また何度言ったか分からない位繰り返した台詞を呟く。
「ユカ、声デカイって」
ユカが振り返る。
「あータク!やっと来たぁ!遅いじゃん!」
だからいつも時間通りなんだっての。