空港の中をキャリーケースで歩くのってなんか、かっこいい。

そういえば、あたし大丈夫かなぁ。

友達できなかったら…
英会話通じなかったら…

って、日本発つ前からそんなこと考えちゃだめだよね。

なんとかして、その話題を頭の中から消す。

「なつき!もう入るよ?」

「う…うん。」
お母さんに言われてゲートに入る。

「うわー、キャビンアテンダントさんだぁ。かっこいい。」
妹の美香が声をあげる。

確かに、かつこいい。キレイだし、上品だし。あたしもあぁなれたらいいなぁー…

「慣れねぇよ。」

「はい?」
あたしの頭の中を踏みにじった奴は誰!?

「正論言っただけ」
こんなこと言うのは、お兄ちゃんしかいない。

「あたし何も言ってないんだけど」

「今、頭の中で慣れたらいいなぁーとか思ってただろ?」

「何であたしが…」

「だいたい分かるっつーの」
お兄ちゃんは私の思ってることとかすぐに当てる。
兄弟って怖い。
でも、あたしはお兄ちゃんの考えてることなんて分かりっこないし、分かりたくもない。

こうして私は日本を発ち、アメリカに行くのです。