「だからね、この村から出るの。
この村を離れるの」
「・・・・・は??
何言ってんだよ・・・」
この村から離れる。
それはすなわち、多くの人と別れることになるってこと。
そして・・・もちろん。
イズとも。
「そんな急な話、納得できるわけねぇだろ?!
何でだよ?!
別に昇進なんてせんだって、十分うちは・・・」
「これから、あんた達にいっぱいお金がかかるんよ」
母さんは、右手で顔を覆う。
「こんな汚い話、したくないけど。
郁だってもうすぐ高校生やし。
それに、将来はみんな高校を出て、
もしかしたら大学に行く可能性もあるかもしれん。
この村は離れたくない。
あんた達にとっても、母さん達にとっても、
ここは故郷だから。
・・・でも」