「悠河?」


あたしは息づかい荒いまま社長の名前を呼んだ。


そしてゆっくり手を伸ばし、社長の頬に触れる。


一瞬、ピクンとカラダが反応した社長が、何だか可愛く思えた。


いつもこうならいいのにね……。


「可愛い……」



社長はゆっくりあたしに視線を戻すと、「お前、なんかエロい」と呟く。



「あたしのどこが?」


「お前、無意識に男を誘ってんだよ……ある意味、オレよりタチ悪いぞ」


「別にそんなつもりないんだけど……」


「分かってるよ、そんなことは。でもお前、これからは気をつけろよ? お前の無意識な行動が他の男をその気にさせたりするんだからな」


相変わらず茹で蛸みたいな顔した社長。


「ふふっ。それってヤキモチ…ってやつ? 結婚したこと、周りの人たちも皆知ってるのに。それなのにまだ不安なんだ?……余裕ないんだ?」



ここで止めておけばよかったのにーー…