「午後の講義サボったから家にいるって!」
彼女に居場所を確認した裕太が安心した声で話しかけてくる。
裕太が鈍い人間なのは知ってるけど、ここまでくるとわざとに思えてくる。
「ごめんな、美由の駅までって言ってたのに。」
「別に。」
「ありがとう。」
惚れた弱味ってホントに狡い。
悔しくって憎かったはずなのに、たった一言で許しちゃってる自分が嫌。
外見が好みじゃなくっても、好きになった人が一番格好よく見えるのが、恋愛の厄介なところなんだよね。
裕太みたいな外見にトキメイタことなんてなかったのに、ありがとうって笑顔でいう裕太にドキドキしてる。
「今度、なにか奢ってね。」
「任せろ!」
可愛くない私の態度だけど、笑顔で返してくれる優しい裕太が大好きだよ。