「なぁ、今日ちょっと付き合ってくれへん?」

「いいけど、どこに?」

「夏休みにディズニーランド行くし、パンフレット取りに」

「なんで私が彼女とのデートのパンフを一緒に取りに行かなきゃなんないの。」

「いいじゃん。 俺ら親友だろ。」

「親友になった覚えないし。」

私は、親友になりたいんじゃないんだよ。
その今、君が想う相手の位置に立ちたいんだ。
彼女として裕太の隣に立ちたいんだよ。
親友なんかじゃなくて、恋人としてなんだ。

女友達の中では私が一番、裕太と仲いい自信がある。
他の女の子なんかに負けない。
だけど私が唯一勝てない相手、それは彼女。
どんなに頑張っても、どんなに足掻いても私が勝てない相手。
そして私が一番羨ましいと思う存在。
私が裕太と知り合うずっとずっと前から、裕太の隣にいた人。
私と同じ友達の立場だったのに、彼女の地位までいった人。
もし私のほうが先に裕太と出会ってたら、どうなってたんだろう・逆の立場だったら、私が彼女になってたのかななんて夢物語。

時間は元には戻せないことなんて、ずっと前から分かってる。
だから考えたって仕方ないことだけど、ついもしもなんて考えてしまう。
たった数ヶ月でこれだけ仲良くなれた私なら、きっと同時に出会っていたら彼女になれてたんじゃとか、私を好きになってくれてたんじゃないかとか。

今までの私なら、誰かのものを好きになんてならなかった。
何かしら理由をつけて、この人は眼中に入らない、駄目なんだって思って好きになる前に諦めてた。
でも裕太だけはできなかった。
駄目だって分かってたのに、好きになっちゃったんだ。
だって外見じゃなくて中身を好きになっちゃったんだもん。

「俺、ディズニーランド好きやねん。」

「ごめん、私は夢の国に興味ないから。」

「めっちゃ面白いねんぞ!」

「ほら、主観が違うと面白いの基準って違うじゃん。 裕にとって面白くても私にとったら面白くないだけだよ。 気にすんなって!」