大学に入った十八の春に私は恋をした。
たった二ヶ月だけの短い短い恋。
人を好きになることって理屈じゃない。
理想のタイプと、好きになった人が全然違うってよくあることだよね。

不毛な恋だって分かってた。
叶うことのない、一方通行にしかならない恋だって。
それでも好きになっちゃったんだ。
彼女がいることも、彼女が本当に好きで大事にしてることも、よく知ってた。
だから好きになったのかもしれない。自分も彼女のように大事にされたいって。

だから、別れてほしいと思うこともあったよ。
私を好きになってほしいとも思ったよ。
そんな私は汚くて狡くて醜い人間でした。

「ねぇ、一緒に帰ろう」

「今日どっか寄ってく?」

「うーん。カラオケ行きたいかも」

私と裕太は俗にいう友達ってやつで仲良しだ。
本当は裕太が大好きなんだけど、彼女がいるのを知ってるから、この気持ちは伝えられない。
だって傍にいたいから、裕太の隣にいたいんだ。

「美由って歌うまいよな。」

「まじで? 私は裕の英語のところ好きだよ。」

「じゃあ、次は英語の歌う。」

友達だから一緒に遊べるし、簡単に話せちゃうけど、やっぱり大事なことは言えないし、優先事項は、彼女でしかない。
分かってるけど悔しくて、所詮は大学に入ってからなった浅い付き合いの友達だもんね。

友達になったきっかけは、大学に入ってできた女友達と裕が知り合いで、その子が裕に喋ってるときに、私もその輪に入ってたこと。
正直な話をいうと、裕太は今まで好きになったタイプとは違う。
外見だけでいうと、友達にもあんまりなりたくないタイプだった。
だけど大学に入ってからは、今まで付き合ったことのないタイプの人とか色々な人と仲良くなったから、裕ともたまたま仲良くなっただけ。
なのに今ではこんなに想ってる自分がいるんだ。
好きすぎて、好きすぎて、日に日に大きくなっていくこの気持ちに気づいたのは、そんなに遅くはなかったよ。