新年を祝う言葉が、辺りから聞こえてくる。
数秒前とは、明らかに雰囲気が違う。
「あけましておめでとう!」
沙世の弾んだ笑顔に、同じ言葉を返す。
嬉しかった。
年が明けたことが、ではなく、この瞬間を誰かと共有できたことが。
たかが年が明けたくらいで、そんなに騒がなくても。
今までの私なら、そう思っていたはずだ。
季節も暦も関係ない。
私の生活にめりはりをつけるのはそんなものではなかったし、もっと別のもので区切られた“期間”の中で生きていたから。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…