「え、嘘!? 数学の問題集なんか範囲30ページもあったじゃん。英語だって大学入試の長文読解だから超難しかったのに!」


もちろん、すべて理解できたわけではないのに沙世は大袈裟なくらい驚いている。

冬休み明けに課題テストがあるから、それに向けてまた見直さなければいけない。



「じゃあ今度見せて、宿題! 好きな教科からやっていったから、数学が全部残ってるんだよね」

「え、ちょ、それずるい! 俺にも写させて!」


沙世を押しのけて割り込んだ須賀くんを、沙世が肘で小突く。

というより、脇腹に肘をめり込ませていた。


「あんたはヒロのでも見てればいいでしょ。亜美の答えは渡さないわよ」

「なにっ!」


こんなにも寒いのに、白熱した言い合いをする二人の近くにいたら、なんだか身体が温かくなったような気がした。