薬には当然副作用があるんですが
『抗精神薬』
これは副作用がとても、辛いんです。
「『精神科の薬』は飲みたくない」
こう言う方は副作用が辛いから。
または
パーキンソン症状により、『一目で』抗精神薬を飲んでいることがわかってしまうからではないでしょうか。
いつも通る道で
いつものお店で
「あの人、ちょっと違う……」
そんな風に思うことはありませんか?
その方は『副作用』で辛い思いをしているのかも知れません。
副作用より辛い『病気の症状』を打ち消すために。
・
ドクターも薬を処方しながら
肝臓や腎臓の機能を調べたり
処方した薬によっては、その薬剤の『血中濃度』を調べたり
『糖尿』にならないか
『代謝』はどうか
採血
心電図
採尿
脳波
たくさんの『検査』をして、患者さんの体調を管理します。
薬を減らしたい。
無くしたい。
薬を飲む患者さんは
たくさんの副作用と
たくさんの検査をしながら
毎日、休まることなく大変な思いをしているのですから。
・
大変お待たせしました!
では
デイケア室へ向かいましょう。
本日は入院中の男性患者さんも『体験』で参加していますよ。
こちらの扉から
階段で2階まで直接下ります。
階段は病棟にも繋がっているのですが、もちろんカギがかかっています。
わたしたち職員はデイケア室へ出入りする時のみ、この階段を使います。
先程言いました通り、デイケアは『外来』患者さんがほとんどですので
外来患者さんが使うこの階段、出来るだけ病棟との行き来をしないよう気をつけています。
さ、カギ開けましたよ。
どうぞ〜。
・
うわ、ビックリした!
森田さん、何故そこに立っているんですか!
え?
誰かが来るのを待ってた?
おぉ〜、待ってて下さりありがとうございます。
でも
今はデイケアのプログラム中ですよ!さ、戻ってください。
このお二人ですか?
わたしのお客様ですよ。
案内してくれるって?
気持ちは嬉しいんですが、今は『プログラム中』。
はい、戻ってください。
え?
このお二人?
『朝ご飯食べたか』って?
森田さんは食べたんですか?
・
食べてない、そうですか。
それより。
そう、早く戻る。
このお二人?
大丈夫、後でちゃんとデイケア室に行きますよ。
さ、戻る。
え?
みんなで戻りたい?
ダメです。
何故って?
今プログラム中だからです。
休憩中なら一緒に行きますけど、プログラム中はダメです。
抜け出して来たんですよね。
さ、一人で戻る!
森田さんが居なくなって、皆さん心配していますよ。
早く戻って、
『心配かけたこと』ちゃんとメンバーにお詫びをしなくちゃ!
・
……
……
振り向き振り向き、森田さん戻りましたね。
森田さんはかなり世話好きな方でして。
『人と係わっていたい』気持ちがとても強いんです。
そうですね、パッと見て『病気』とは思わなかったでしょう?
軽い『S(統合失調症)』
それと『てんかん』
『人格障害』の病名がついています。
外来患者さんです。
挨拶をよくしてくださる、普段は穏やかな方です。
怒るとメンバーと殴り合いのケンカをします。
・
森田さんのように穏やかな人懐っこい方が、これらの病名があるのに驚かれましたか?
そうですよね、笑顔で挨拶をしてくれたり
案内を買って出てくれたり
素晴らしいですよね。
でも。
やりたいこと『だけ』進んでやる、その森田さんの行動は社会で通用せず
いろんなトラブルを引き起こして
森田さんはここの『患者』さんになったのです。
デイケアに通所しているのに抜け出して
病院スタッフの『お客様』の案内をする。
気持ちは有り難いのですが、受け入れる訳にはいきません。
・
デイケアを卒業したら、患者さんは『作業所』に通います。
作業所は『仕事』をするところですから、『抜け出すことはダメ』と伝えなくてはいけません。
周りの人と、デイケアではデイケアメンバーやデイケアスタッフと
森田さんは『きちんと』係わっていかなくてはいけません。
厳しい?
そうかも知れないです。
森田さんの申し出に
『ありがとうございます。一緒にデイケアへ行きましょう』
と答えたなら、森田さんはとても喜んでくれたことでしょう。
・
わたし自身、いろんな『言葉』を発しながら常に葛藤があります。
わたしが友達だったなら……
わたしが同じ立場だったなら……
いろんな事を考えながら、気持ちとウラハラなことを言わなくてはいけない時もあります。
『仕事』ですから。
森田さんも
他の患者さんも
『仕事をしたい』と望み、叶わない方もいます。
でもいつか
『望み』が叶った時
伝わるといいな
そう願っています。
・