次の日、美奈は学校に来ていた。



「おはよう。」

「・・・。」



だけど挨拶すら返してくれない。

私をちらりと見ただけで、机の上の本に目線を降ろした。



間宮君も来ている。

こっちは目線を合わすことすらしない。






だれも喋らずに3人が別々の方向を向いている。



もうすぐ1限が始まる。



私は教科書を忘れたことに気付いた。

とりあえず美奈に話しかける。




「教科書忘れたから見せてくれない?」

「ごめん、私も忘れたから。」





そういって美奈は教科書を隠した。

隠したつもりだろうけど私には見えていた。


仕方ない、間宮君に見せてもらおう。




「ごめん、教科書・・・、」

「明石に見せてもらえよ。」

「美奈も忘れたって。」

「じゃ、俺も忘れた。」






何なの、二人とも。



いじめ?









私は居たたまれなくなって、席を立った。





これじゃまるで私に否があるみたいではないか。