「お母さん、私出掛けてくる。」

「今から?」

「うん。」

「そう。電話の相手、男の子みたいだったけど、彼氏?」

「そんなんじゃないよ。部活が同じだけ。」

「お母さんも高校生の頃、同じ部活の男の子と付き合ってたなー。」

「陽子も?私も、お爺さんと高校の部活で出会ったのよ。」

「え?お父さんと?私、初めて聞いたわ。」

「あら、話したことなかったかしらね。お爺さんは2こ上の先輩でねぇ。」

「高校生の時の2こ上の先輩って大人な気がしてたわよね。」

「お爺さんは、とっても人気のある先輩でねぇ。」

・・・






「いってきまーす。」




って聞こえてないか。

私は昔話に花を咲かせているお母さんとお婆ちゃんを無視して外に出た。

もうすぐ本格的な夏が近づいているからだろう、夜でもだんだん蒸し暑くなってきている。

私は家のあたりを見回した。

そう言えば、間宮君は私の家を知っているのだろうか?




そんなことを考えていると、道の向こうに人の影が見えた。

だんだん近づいてくる。






「長瀬さん。」


そこには間宮君が片手をあげていた。




「間宮君。」


私もそれに片手をあげて答えた。




「ちょっと、歩こうか。」

「うん。」