「ミルクと砂糖は?」

「頂戴。」

「ん。」

「ありがと。」



間宮君は淹れたばかりのコーヒーをマグカップに注いでいく。



「はい。」

「ありがと。」



そして、私の目の前にとても良い匂いのするコーヒーが置かれた。




「マグカップ可愛い。」

「それ、長瀬のだから。」

「え?」

「これは俺専用。」

「あ、ありがと。」

「いや、買ってきたの望月だし。」



そっか先生が買ってくれたのか。
つい、間宮君が用意してくれたのかと思ってた。

私のこと認めてない間宮君がそんなことしてくれる訳がないのだけれど。




「・・・熱い。」

「もう、夏だしな。」




初夏を迎えようとしているこの季節、HOTのコーヒーはちょっと熱い。



なんだか、こんな暑いのに熱いコーヒーを飲んでいるのが可笑しいことに思えて、私は思わず微笑んでしまった。




「機嫌直って良かった。」




間宮君がほっとしたようにそう言った。