「長瀬さんは断らないわ。」


望月先生は自信の満ちた目で私を見ていた。














「はぁ~。」


だけどやっぱりこの部室に入る気にはなれない。

今日は間宮君も私を待ってると言っていたし、次受け入れられなかったら今度こそ断っても良い要件だ。

先生の言う通り、断れずこの場所に立ってるのも悔しかったが、何より一歩が踏み出せない。

私ってこんなに融通利かない体してたっけ?

色々考えてみても体が前に進まないのだ。




傷つくことを凄く避けているんだ。





直感的にそう思った。

そう思った瞬間、何だかすごく悲しい気持ちになってきた。

こんなに自分の精神状態が不安定だったとは知らなかった。

気がつけば、涙が頬を伝っていた。








ギギギーーー・・・




視界がグラグラ歪んでもう立って居られないかもと思った瞬間、目の前の扉が錆びた音を立てながら開いた。




「・・・・っ。」

「・・・・・泣いてる?」