「はぁ~。」


また、ため息で表札のホコリが飛んだ。

私はというと、香華生徒運営部の部室の前に来ていた。





振り返ること10分前。





「あのドラマ最高だよね~」

「陽菜もハマってるなんて思わなかったよ!」


なんて、ドラマの話をしながら私は美奈と靴箱に向かっていた。
何だかんだで、美奈とは話が合うのだ。

けれど、そこにやって来た、隙のない教師。


「あら、長瀬さんに明石さん、今日部活動は?」

「今日は植物のお世話当番ではないのです!」

「私は休みです。永遠に。」

「そーう。長瀬さん、さっき間宮君が部室に向かっていたけれど、サボっちゃって良いのかしら。」

「はい。むしろ入部は認めないと言われたので。」

「その話は、職員室で聞くわ。明石さん、先に帰ってもらっても大丈夫?」

「了解であります!バイバイ陽菜。」

「ちょ・・バイバイ。」




薄情にも美奈は手をブンブン振りながら去って行った。

私と望月先生は職員室の横の相談室に入った。




「さて、その話の続きなんだけど。」

「先生も間宮君も、入れだの認めないだの、勝手すぎますよね。」

「まさか、間宮くんが拒むだなんて思ってなかったんだもの。だって間宮君って穏和なイメージない?」

「なんか、私に否があるように聞こえるんですけれど。」

「相変わらず固いわねぇ長瀬さんは。」

「先生が緩すぎると思うんですけれど。」

「とにかく、私が説得しておいたから、今日も部室に行ってみてよ。」

「先生、もし私が。」

「ん?」

「断ったら?」