「・・・何。」
「え、あ、いや、せっかく隣になったから仲良くなりたいな・・・と。」
「違う。」
「へ?違う?」
「そうじゃない。」
「そうじゃないって何が?」
「何で見てたの?」
「何でって・・・。」
まさか、君がカッコいいから見てましたなんて間抜けなことは言えない。
「いや、喋りかけても何も返事してこないから・・・。」
「ふーん・・・。」
そう言うと彼は窓の外の方を向いてしまった。
いやいや、ふーんってそれだけかい。
「間宮くんはいつもそうだから気にすることないよ!」
いきなり背後から声がした。
驚いてバッと振り返ると明石美奈が座っていた。
「陽菜ちゃんの隣ゲット~!」
「み・・・、美奈ちゃんだっけ?」
「あ、覚えてくれた?うれし~」
そりゃ、インパクト大だったし。
「陽菜って呼んでいい?もちろん美奈のことも呼び捨てでいいよ!」
「い、いいよ。」
「やった~!今日から友達ね!あたしたち」
どこまでも元気な美奈に疲れそうだと思いながら、そのフレンドリーさには感謝した。
美奈のおかげで転校初日にしてクラスに何となく溶け込むことができた。
けれど、間宮くんと呼ばれるイケメンくんと話すことはその後なかった。
クラスのみんなともいつもあんな風だと美奈は言っていた。
転校初日は疲れたが、何だかんだで一件落着だった。