「ちょっと・・・、これ本当に学校なの?」
「まぁ、お婆ちゃんの頃からある学校だから、ちょーっと古いかしらね。」
「ちょっとどころか、人がいるようには見えないんだけど・・・」
「まぁまぁ、昔と変わらないなら、あっちが職員室のはずよ。」
新しい学校に着いた。
いや、新しいとっても古い学校と言うべきだろう。
見た目は木造。ちょとガタがきている。
3階建てで、校舎は一つしかない。
お母さんは久しぶりに母校に来たという感じでルンルンのようだ。
職員室でお母さんが手続きをしている間に私は辺りをキョロキョロと見まわした。
明らかに先生と思われる人たちが少ない。
とりあえず私は担任の先生と紹介された人に挨拶をした。
「長瀬陽菜です。よろしくお願いします。」
「望月よ。よろしく。分からないこととかあったら何でも聞いて?」
「ありがとうございます。」
担任の望月先生は見た目が若い。
というより本当に若いのだろう。
そしてとても美人だと思う。
そのやんわりとした笑顔は男ならほっとかないだろうなと思った。
どうしてこんな田舎のボロ学校で働いているのだろうか。
「クラスに挨拶に行きましょうか。」
「あ、はい。」
「じゃあ陽菜、お母さんは帰るからしっかりしなさいね。」
「うん、じゃあね。」
私は先生に連れられて新しいクラスだと思われる教室に向かった。
「この学校は人数が少なくてね。ほら、少子化が進んでるでしょ?特にこんな田舎だとね、それが見る見る減っていって。全校生徒でたった100人しかいないのよ。」
「え、ってことは一学年は・・・?」
「今の3年生が42人、2年生は34人、1年生は24人で、1年生が一番少ないのよね。1学年2クラスだから、1クラス当たりは12人かな。」
「たった12人・・・。」
「ほら着いたわ。あなたは101人目よ。これがあなたのクラスの1組。で、その奥が2組。さ、入りましょう。」
さすがにいざ教室の前に立たされると、何とも言えない緊張感が襲ってきた。