理事長室へ向かう。


陸と、氷奈が
アメリカから戻ってきたんや。


コンコン

「失礼します」


ソファーで、
氷奈が座っとった。


「氷奈」

「あ!陸戸!久しぶり」

氷奈は俺を見た途端、
ソファーから立った。



「うん、久しぶりやな」

「会いたかった!」

氷奈はそう言って
俺の胸の中に飛び込んできた。


「俺もやで?」

「じゃぁ行こう!
 久々にデートしようよっ!」

氷奈は腕を組んできた。



「せやなぁー。久々に行くか!」

「うん!」


氷奈は、親らが仲ええから、
小さい頃から居る。


特別な感情はなく、
ダチとしか思ってへん。


氷奈は、
花嫁候補の中の一人や。

俺の親にも気に入られ、
結婚する可能性が、

一番高い。


俺も氷奈は好きや。
けど、女としてちゃう。


俺が好きなんのは、
馬鹿で、アホで、
ちょいと天然で、
記憶力ダメダメやけど、

可愛くて、
優しくて、
昔、約束をした

矢口栖羽だから。