「…っカオル!!」


肩がピクリと反応したのがわかった。



「幸せになってねっ!」



あたしの言葉に反応するように、カオルは左手を上げる。






ミチ、あたしにはこれが精一杯だよ。

だけど、だけど本当に、これを一番にカオルに伝えたかったから。


もう、それだけで…。





くるりと回り、自分の家の方へと歩く。


一歩、また一歩と、カオルと離れていく。






幸せに………。


これは一番の本音。



だけど、だけど願わくば

カオルを幸せにするのがあたしだったらよかったのに………なんて。



「……っ、なーんて…」


なんて、バカ何だろうあたしは。

何泣いてるんだろう、あたしは。



本当に、バカだ。






完全に止まってしまった足を、無理にでも動かそうとしたその時。









「……幸せってさ」