その顔が、いつもの憎たらしい顔ではなく 本当に優しい笑顔で。 目の奥が熱くなるのをぐっと堪えた。 「今日、楽しかったよ。ありがとう」 「あ、…う、うん」 上手く、話せない。 カオルの顔を、直視出来ない。 「今日だけじゃない。毎日が楽しかった。 俺、絶対忘れない。お前らと過ごせた時間も、この夏のことも」 ようやく見れたカオルの顔は 嘘を言っているような顔でなくて もう、それだけで十分だった。