「…ヒロ、チヒロ!」


「…え?」



呼び止められて、ようやく自分の世界に入ってしまっていた事に気付く。


あたしの足が止まったのは、もうカオルの家の方角とあたしの家方角の別れ道だった。



「ご、ごめ…」


最悪だ。
自分から送るって言ったのに、無言のままこんな所まで来てたなんて。




「ここで良いから。…じゃあな」


普通に、いつも通りの様子で帰っていこうとするカオル。

まるで、明日も明後日も会えるみたいに。





でも、違う。


あたし達は、もう会えない。

もう、明日はない。






「ま、待って!!」