『……でも』
さっきまでのキラキラとした勢いはどうしたのか
さっきまでとは違う顔で男の子が喋りだす。
あたしとカオルは、一度顔を見合わせてから男の子を見た。
『みんなが無理だって。オレチビだし…、みんなより下手だし。
プロになれるのはほんの一握りの人間なんだって、父ちゃんも言ってた。
オレ…やっぱり無理なのかな…?』
グローブを握り締める手が、少し震えているのがわかった。
「そんなことな…」
「無理だろうな」
あたしのフォローの声に被せてきたのは、もちろんカオルで。
男の子も驚いた様子で顔を上げる。
「ちょっ…!!」
満面の笑みでそう言うカオルに、文句の一つでも言ってやろうとした時だった。
「今のお前のままならな」