一端休憩!なんて言って、カオルは汗だくになった体を拭いていた。


上半身裸のカオルを見ても恥ずかしさも何にもないあたしは、きっと女の子を捨ててる。




『なぁ、兄ちゃん』


不意に声をかけてきたのは、ボールを落としていたあの子だった。


「ん?」


カオルの隣にいたあたしも、いちよう耳を傾ける。


『オレ、プロの野球選手になるのが夢なんだっ』


目をキラキラさせて、拳をギュッと握りながら男の子はそう言った。


「プロ?」


『うんっ!』


あたしが繰り返し言った言葉に、男の子は素早く反応した。



「そっか。頑張れよっ」


ポンッと男の子の頭に手を乗せて撫でるカオル。


あたしはと言うと、こんな小さな子が
今日会ったばかりのあたし達にそんな夢を話してくれたことに感動していた。