――カキーン…


「ほらほらっ、早く走れよーっ!」


『…姉ちゃんすげぇ!!』

外野で守っている子達は、もうお手上げ状態でこっちを見ている。


『ってーか姉ちゃん、大人気ねぇぞ』


「あぁ?何か言った?」


バットで指差しながら叫ぶと、その子は慌ててボールを拾いに行った。


「野球にね、大人も子どもも関係ないんだっつーの!!楽しきゃいいのっ」


これは、お父さんからの受け売り。


男の子がほしかったお父さんの期待を裏切り、女の子として産まれてきたあたし。


それでもキャッチボール位は…って3歳のあたしにグローブとボールを持たせていたらしい。


そんなお父さんのおかげで、こんなに男の子勝りな野球好き少女になっちゃったんだけど。