「それに…」


「…それに?」


「俺もお前とキャッチボールやりたかったし」





“最後の思い出になるから…?”



そんな言葉が頭を何度もよぎる。



「…へへっ。
さっすがー!よくわかってる!」


カオルから受け取ったボールを、またカオルへと投げ返した。



笑ってなきゃ

きっと不安で、泣きそうな顔になるのは自分でもわかってたから…


無理にでも笑っていようそう思った。




カオルは気づいていたのか本当に気づいていなかったのか

何も言ってはこなかった。