「…落ち着いた?」
目冷やしな、そう言ってミチは冷たく冷えた缶ジュースをあたしの手のひらにのせた。
冷たい缶が、重くなった瞼を冷やしてくれた。
「気づいたんだ…?自分の本当の気持ちに」
声を出さずにコクリと頷く。
あたしはカオルが好きだ。
友情としてじゃない
男としてカオルが好き
その気持ちに気づいたのは、皮肉にもカオルの引っ越しだった。
「最低だよね、あたし…。今更だよね」
カオルが気持ちを言ってくれた時、あんな態度とって傷つけたくせに。
「ほんっと、今更よ~。そばで見ててイライラしたわよ~」
「えっ?」
ミチの発言に驚いて、思わず顔を上げた。