「おま…はぁ、お前…足早すぎ…」
腕を掴まれ、ようやく止まった足。
ジリジリして痺れているような感覚がする。
後ろを振り向くと肩を上下に激しく動かすリュウヤの姿があった。
「こんなとこまで行くなよなぁ…。呼んでも止まらねぇし」
リュウヤに言われて気付いた。
周りは見慣れない場所。
近くには誰にも手入れされてないのか、草だらけの花壇。
普段、誰も来そうにない校舎の端まで走って来ていた。
「ごめ…」
「カオルを追いかけたのかと思ってた。いいのか?このままで」
リュウヤの瞳が真っ直ぐにあたしを捉える。