もう…戻れない?



「…って!!何か言えよな~。俺が寒いだろうが」



頭が真っ白で、カオルがこっちを向いていたことも気づいていなかった。



「…って言ってもアレだろ!?引っ越し先は隣の街とかっていうオチだろ?」


無理やり笑うリュウヤに、カオルは負けじと引きつった笑顔で答えた。


「…悪い、A県って言うオチ…なんだけど」


「……マジで言ってんのかよ…」



A県……。
片道何時間かかるかわからないくらい遠い場所。

すぐに会いに行けるような場所じゃない。





「いつ…行くの」


あたしが言えたのはそれだけだった。