その日からあたしはカオルを避け続けた。


「チヒロ!!野きゅ―」

「ごめん。今日パピーの誕生日」


「まじ?じゃあ明日は―」

「ごめん。マミーの誕生日」


「……じゃあ明後日は」

「お姉さまの誕生日」


「お前。なめてるだろ」




肩を思い切り掴まれ、無理やりカオルと向き合う状態になってしまった。


それでも目をあわせないあたしにカオルがキレた。




「そんっなに嫌だったのかよ」


…何言ってんの。


「嫌とか…そんなんじゃない」


「じゃあ何でそんな避けんだよ」




「…カオルはさ、なかったことにしたいのか、そうじゃないのかどっちなの?」





蝉の鳴き声が大きくなるのを感じた。