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「さっき、教室で…。別れてって言われた」
「…うん。俺も言ったしね」

エリーをチャリの後ろに乗せ、怒鳴りながら話す。エリーの声は風の音に掻き消されながら俺の耳へと届いた。

「もう、ヤダ」

肩が濡れる。あぁ、またウサギのように目を赤くして泣いているんだろうか。

想像しただけなのに、反応しそうだ。

「しぃ、帰ったらしぃの作ったロールキャベツが食べたいなあ」

そんなことも知らずに呑気に笑っているだろうエリーを思い浮かべると笑えてくる。


そして気付いた歪んだ愛。

「早く俺の為だけに、俺だけを思って泣いてよ」

俺はエリーが好きなんだ。
女として。