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「おはよう」
「……」

平熱35.2の俺が7時前に起きるなんて奇跡だ。まぁ、エリーに起こされれば嫌でも起きるが。

「しぃ、私彼氏出来た」
「……は」
「はじゃないよ。彼氏出来たの」
「なんで、この前別れたばかりじゃん」
「うん。でも前から好きでいてくれたらしくて…別れたって知って付き合おうって」

それに、こんなことを言われれば嫌でも目が醒めるだろ。

なんだそれ、と言えば笑って好きなんだ、と一言言ってエリーは、はにかんだ。
もう、俺の声など聞こえていなかった。

こんなにエリーが気になるのは幼なじみだからだ。

ったく、世話の焼ける幼なじみだ。そんなこと思いながらエリーが出て行ったのを見送りタバコを口にする。

「おいしくない」

メンソールの抜けたタバコは最悪だった。


俺の好きな子は恋い多すぎな女の子。