◆◇◆
しぃ、今日初めて自分から別れを告げたよ。辛くて、すごく辛くて苦しかったけど、何故かすっきりしたことも事実で。
ねぇ、しぃ。本当はしぃに一番最初に言いたかった。しぃに慰めて欲しかった。でも私はしぃを怒らせちゃったから、我慢するよ。
「えりー」
「みよちゃん…」
一番仲が良い友達のみよちゃん。いつもしぃの次に、付き合った、別れた、と報告していた。ゆうくんの時は1番に伝えたけど。
「まーた泣いたの?目、腫れちゃってる」
「…だって…」
「ナニ」
「しぃに嫌われちゃった…」
どうしてかわからない。でも嫌われた事は確かで。
「なんだ。ゆうくんに振られて泣いたのかと思った」
「ゆうくんは私から振ったんだもん」
「はいはい。…なんでしぃに嫌われたの?」
「しぃって呼ばないで…」
涙が出た。しぃって呼んでいいのは私だけ。しぃって呼んでいいのは私だけなの。
「ごめん。あんたのがうつった。…ねえ、えりー」
「ん?」
「どうしてアンタが歴代彼氏に振られたか教えてあげようか」
それは今聞いてないのに、と思いつつ頷く。
「それはね、アンタの噂と岸本の存在が原因」
「噂としぃ?」
「そう。噂はね、どこから流れたのか、えりーはカンタンにヤらせてくれるってやつ」
「なにそれ…知らない!わたしシたことないもん!」
そんな噂知らない。それに私はまだ処女だ。
「それはわかってる。岸本の存在が原因ってのはね、アンタ何かあるといっつも岸本の方に行ってたでしょ。だからよ」
よく意味がわからなかった。確かにしぃのところによく行っていたけど。
「…はぁ。アンタわかってないでしょ」
「う…ん」
「あのね、アンタの気持ちだからアンタにしか本当の気持ちはわからないけど、絵莉衣は岸本が好きなんだよ」
「うん、すき」
なに当たり前の事を。その思いは口に出さず態度で示したが、すぐ否定された。
「違う、そうじゃない。恋愛感情で好きなんだよ」
「れ、んあいかんじょう…?」
うそ、そんな、まさか。頭を駆け巡る言葉は否定的な言葉ばかりで。
でも、恋愛感情だと考えると心がすっとした。
そうか、私は
「しぃが好きなんだ…」