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「ヨシ、帰ろう」
あれから早半年。私にしては長いほうだった。付き合ってから知ったけど1年の頃同じクラスだったらしい。
付き合ってからはしぃの部屋に行ってない。なんでかわからないけど、しぃの部屋に行くとヨシが不機嫌になるし、しぃには彼女が居たから。
「…絵莉衣」
「ん?もう帰れる?」
「いや、もう一緒に帰るのやめよう」
「…え?」
いつもより真剣な顔で、辛そうに言ったヨシが冗談を言っているようには見えなくて、「わかっ、た」と言葉を絞り出しその場から走りしぃのクラスに行った。
「しぃ居る?」
入り口付近に居たしぃのクラスメイトに声をかける。涙を流しそうな私にぎょっとした顔を向けた男の子にもう一度同じ言葉をかけた。
「どうした、エリー」
「…しぃ」
教室の真ん中。つまり自分の席に居たしぃの名前を呼ぶ。隣に居るのは彼女、だった。
「…ごめん。美咲、別れて」
しぃは私の顔を見るとそれだけ彼女に言いカバンを持ち、私の隣に来た。
「帰ろう、エリー」
「ん…うん」
何度も頷きしぃの手を握り帰った。
あぁ、しぃに頼ってばっかりだ。怒っているだろうと思いしぃの顔を見れば、何故か嬉しそうだった。