せっかく実家に帰ってきたのにぃ

紫音ちゃんと一緒にお祭りに行こうと思ったのになあ

すっかり妹にさえも、振られちゃった

「花音、手伝ってあげて
合宿に間に合わないって焦ってるのよ」

お母さんが、私に麦茶を出してくれながら言う

「合宿?
あれ? 夏休みに入ってすぐに学校合宿に行ったんじゃなかったの?」

「そうじゃないのよ
今度は各地区で選ばれた選手だけが集まって北海道でバスケの交流合宿があるんだって
それに紫音が選ばれたのよ」

「ふうん
凄いね、紫音ちゃん」

「別にぃ
バスケよりも頭がよく産まれたかった」

あぐらをかいて座っている紫音ちゃんが、面倒くさそうに答えた

中学3年生の女子にしては…身長は高いし

運動神経もいいからきっと選ばれたんだね

「よしっ!
私も宿題、付き合うよ」

「じゃあ、数学よろしく!」

紫音ちゃんが教科書とノートを私の前に置いた

え?