左手から放たれたボールは、勢いを失わないままミットに収まった。

グラウンドに広がる甲高いミット音に、選手の全てが振り返る。


「うおおー!!アキぃい!!!」

アキの周りにはたくさんの部員が集まって、それぞれがアキに思い思いの感動を伝えていた。


アキの球はすごかった。
県でもトップクラスのピッチャーと言われていた以前のアキと同じくらいに。


ううん。違う。

以前より、もっと格段にアキの球は球威を増していたんだ!!


「アキも復活したし、これで優勝も・・・」

あたしの隣に立っていた監督は小さくそう呟いていた。


「リカ~!」