さっきまであった震えは、何もなかったかのように消え去った。


もう、俺にはミットしか見えない。


雨はいつの間にか止んでいた。

雲のすき間から、微かに光が差し込む。


深呼吸をし、大きく足をあげる。



「ストラーイクッ!」

ボールは凄まじいミット音と共に、俺たちの虹の向こうへの道を照らしてくれていた――。