「誰がそんな乱暴を実践できるものか、だよ、汐崎くん。実際のところそんな風には行きはしないってことを、彼女は君よりわかっているね。備えというのはそういうことだ。文章かテープか、あるいは複数の人間に事情を話しているか、そのすべてか。消去の鉄則を使うのであれば、その場で技に出なくてはいけない。当人の記憶だけが問題となる状態でのみ可能なものだと覚えておこうか、この機会に」


「差し出す人身御供に対して途中から説教入ってますって、部長サン」


「私の一存ではなく会議にかけた結果なんだよ。ここは君が彼女に協力してしまうことがもっとも影響の少ない道だということに決定したんだ。満場一致。汐崎君の信頼は大した厚さだと今回知ったね、やぁ感心」