「なんだね。女性相手は熟練の、君向きの仕事が用意できましたよ」

「空いた口が塞がらないんスけど」

「閉じているよ。大丈夫大丈夫、異常なし」


おぉいオッサン。

叫びたい気持ちを、オレはぐっと飲み込んだ。

やわらかな言い方を心がけ、言いたいことはちゃんと言う。叫ぶだけ無駄な体力消耗であることは学習するほど付き合っているのだ。


「ちょっと待った、部長。何を言うかですよ。こんなん言ってるこの女の記憶でもなんでも消しちまえばいいじゃないですか。なんでそんな手間惜しんでいるんです。知られたら消せ。鉄則でしょ、この世界」