「沙希〜!」





聞き覚えのある声で、私の名前を呼ぶ。

振り向くと私に向けられた笑顔。

私もつられて笑顔になる。

「どうしたの、あゆ?」

「んーなんか名前呼びたくなった!」

「何それ(笑)」



あゆは中学に入って初めての友達。

違う学校から同じクラスになったから、

私の秘密を知らない。

私は未だに彼への想いを引きずっている……


「あー駆!おはよっ」


あゆは私に向けた笑顔を、
駆にも向ける。


「おー」


彼は右手を軽く上げ、教室に入っていった。

私とあゆも一緒に教室に入る。



駆……


この人の存在が私を迷わせる……