――…ああ…
"笑顔なんて好きな女にだけ見せてればいい"
ヨウ、…ヨウの言った言葉は正しかったよ。
変に期待させて彼女を悲しませてしまった。
俯く彼女の頬にはまた一筋の涙が伝う。
……――ああ…また、だ。
泣く彼女をどうしても瑠璃と重ねてしまう。
抱きしめたい衝動に駆られる。
「ホントに、ごめんね」
優しくしないことが彼女への"優しさ"だと思った。
もし、ここでハンカチなんか差し出したらどうなる?
また後悔することになりそうだ。
やっぱり彼女は、一筋縄ではいかない。
―…直感的にそう感じた。
「僕、ずっと好きな子がいるんだ…。だから瑠奈ちゃんの事、その子以上に想えない。気持ちは嬉しいけど…本当にごめんね」
もう1度謝ると、屋上を後にした―――……