彼女が一歩足を踏み出す度にサラサラ揺れる切りそろえられた真っ直ぐな髪。
そんな姿も絵になるのか、クラスの男子は瑠奈ちゃんに釘付けだった。
「あの……っ」
言いかけたその途端…――
授業の開始を告げるチャイムが鳴ってしまった。
…そんなに僕、休み時間になってもボーッとしてたのかな…。
さすがに、このタイミングで返事をするのは無理だろう。
僕と彼女の周りには黄色い声で騒ぐ女子たち。教室には彼女に釘付けの男子。
こんな中、返事をしてしまったら彼女は噂の的になってしまう。
こんなに彼女をかばってしまうなんて、やっぱり彼女を瑠璃と重ねてしまうからだろうか。