「じゃあ、失礼します」


くるりと回ると、屋上の扉の方へと走っていってしまった。




「あのっ…!」


自分でもびっくりした。何で話しかけてるんだ?

それはきっと彼女が瑠璃に似てるせい。



その理由以外なかった。


僕が瑠璃以外の女の子に興味を抱くことなんてないから。



「名前、…は?」


「瑠奈です」





…気付かなかった。

いや、見えなかったんだ。




逆光のせいで、彼女の顔が冷たく歪んでいた事を。