「ありがとう」
手紙くらいもらってもいいかな?
彼女が瑠璃に似ていた所が僕の決心を鈍らせた。
震える手からそっと便せんを抜き取る。
バッと顔を上げた彼女は柔らかい笑みを零してありがとうございます、またあのソプラノの音で小さく呟いてお礼を言った。
笑顔まで瑠璃に似ている。
どうして今まで気付かなかったんだろう。
こんなに似ている子がいたなら気付いていたっておかしくないのに。
…でも手紙をもらったからといって返事は出来ない。
…僕には瑠璃しかいないから。
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