「いつも毒舌な凜久が可愛く見える瞬間は寝起き直後だよっ」


「…なに、それ笑」



瑠璃がどいた後、僕もさっきまで抱いていた甘い妄想を完全に頭の隅へと追いやる。


頭の上でその妄想を追いやるように軽く手を振る真似をして。



「…ん?どうしたの?」


「蚊がいたの。…蚊が」


やたらと"蚊"を強調してニッコリ笑う。




妄想の相手とは…


もちろん目の前の彼女。





……瑠璃のこと。