「やめて・・・殴らないで」

「はぁ!?梓?何言ってんだよ!!」

「いいからやめて!」



私のせいで彪が歌えなくなるのはイヤ



「梓~!!さぁ、そんな奴ほっといて行こう?送っていくから」



真弘が自分をかばったと思って猫なで声をだして行った



「イヤ」



それだけで真弘の眉間にしわがよった


「・・・なんで?・・・あっ!もしかして今から仕事?今日は何をするのかな?」

「違う。仕事じゃないよ。私はもう真弘と付き合うのやめる」

「・・・ははっ。何言ってんの?帰るぞ!」




そういって真弘は私の腕を強く引っ張る


「やめて!離して!あんたが私を利用したんじゃない!!」

「・・・もしかして今の会話聞いてた?」

「・・・」

「そっか・・・。なら仕方ないなぁ。別れる?」




少しでも「待って」と言ってくれるかな?と期待した私が憎たらしい・・・

やっぱり真弘にとって私はそういう存在でしかなかったんだ・・・




「ねぇ、私のこと、少しは好きだった?」

「・・・。大好きだったよ」



ニコッと笑って真弘が言った


そして「これからが楽しみ♪」と言って足早に去っていった






「「・・・」」




取り残された私と彪は無言で歩き始めた



とても居づらい沈黙だったけど、彪が最初に口を開いた