キーンコーンカーンコーン―――・・・
授業の終わりを告げるチャイム。
今日も疲れたあ、って大きく伸びをすると、なぜかあくびが出てくる。
「愛理? 帰ろお」
「ふぁー・・・ 唯、荷物まとめんの早いね・・・」
「だって置き勉だもん★」
唯はそう言ってピースサインを出す。
「あ、そ・・・」
あたしは呆れながら一通りの荷物をスクバにつっこんだ。
「ほらあ!早くっ! 愛理歩くの遅い!」
「何? 唯、用事でもあるの?」
「んー・・・? ふふっ★ 今日、祐樹の家にお泊りすんの♪」
「ええぇ!!!」
ひとつ屋根の下、男女が共に夜を過ごすなんて・・・
あたしにだって、何があるかくらい予想がつく。
「なあに? 愛理、エロい事考えないのっ!」
「べ、別にぃー・・・?」
図星をつかれて、思わず声が裏返った。
「てか、そんくらい普通じゃん?」
「え・・・? そうなの?」
「うん。先週はユキがお泊りって言ってたし、たしかおとといエミが・・・」
え! えぇ! えぇぇ!
「・・・知らなかったぁ・・・」
あたしなんて、16年間彼氏がいたことさえ無いのに!!
「愛理? 魂抜けたみたいな顔してますけど・・・」
「へっ?! あ、いや、だってぇ・・・」
あたしは若干テンション下がっちゃってて。
「愛理も頑張れ! ほら、帰るぞ★」
すっかりテンションの上がった唯。
そしてどん底に落ちてるあたし。
いい加減成長しなくちゃ・・・。
「どうすれば彼氏できるかなぁ・・・」
溜め息混じりに呟く。
「出会いだよ、出会い♪」
今にも飛び跳ねそうな唯が、いつもより高い声で、そして笑顔で言った。
「うーん・・・」
「でも、出会い系とかは手ぇ出すなよっ?」
と思ったら急に厳しいお顔。
「だ、出さないよぉ」
さすがにあたしだって、そこまでするつもりは無いもん!!
「無理する事もないんだよっ??」
「・・・そおだね」
唯の言うとおり、“出会い”を待ってみようかな・・・。
きっと、そのうちチャンスが来るはずだよね!
今は、そう信じよう! うん!!
この時のあたしは、都合のいい解釈をしてるだけだった。
だってすでに、“出会い”は訪れていたんだ・・・・・・。