「愛理! おっはよ★」
遅刻ギリギリで教室に駆け込んだあたしに、後ろの席から声がかけられる。
「唯ー・・・」
朝イチで見る親友、唯のスマイル・・・眩しすぎる。
唯はあたしの事なんでも分かってくれて、すごく頼りになる。
あたしとは正反対で・・・。
当たり前のように、彼氏だっている。
「はあーあ・・・」
ちっぽけなあたしは、机にうつぶせになり、騒がしい教室の中、浅い眠りに落ちた。
「愛理! あーいーり」
後ろから肩をポンと叩かれ、目を覚ました。
声の主は、もちろん唯。
「ん・・・ふぁ・・・何?」
目をこすりながら唯の方へ振り返る。
「前、前! 転入生だよ!」
「え、HR始まってた・・・?」
「とっく!」
寝ぼけ眼のあたしは、唯の言葉に急かされるように前を向いた。
“金指 健”
その名を背に立つ男の子。
「わあお、美少年じゃん・・・」
「でしょ?! あたし、タイプドンズバなんだけど!」
「唯には祐樹くんいるでしょ!」
そんなやりとりをコソコソとしているうちに、自己紹介が始まった。
「東京から来ました、金指健です。よろしくお願いします」
へえ、東京・・・。
確かに、都会っぽい雰囲気が漂っているような。
「ねえ、唯・・・」
後ろを向くと、既に目がハートになってる唯。
「だめだこりゃ・・・」
全ては、この朝から始まった。