僕は、もう一度水野さんに電話をかけた。

誰も出なかった。


今、どこでどうしているの?

どうして、電話に出られないの?


僕は、どんどん悲しみが膨れ上がり、この世に一人ぼっちみたいな気分になってきた。

早く朝が来て欲しかった。


僕はすがるような想いで、ゆうじに電話した。

忙しいゆうじが出てくれるはずもないんだけど。


『もしもし、ハル君??』



電話の向こうの変わらない優しい声を聞いて、僕は涙がポロポロと出てきた。


『泣いてるの?ハル君!ユキちゃんとケンカでもしちゃったの?どうしたの?ハル君!!ちゃんと話して!!』


僕を心配してくれるたくさんのゆうじの言葉たちが僕の心に染み渡る。

傷が癒えるのがわかる。


『ごめんな・・ゆうじ。ちょっと、寂しくなっちゃってさ。お前の声聞いたら、元気出たよ。新曲発売もうすぐだったよな。がんばれよ!』


『大丈夫?いつものハル君じゃないよ。僕、心配だよ。』


僕は真っ暗な部屋に響く、電話からの声を大事に大事に聞いていた。


『お前は優しいな!いつも・・。もう大丈夫だから!安心して。』



電話をゆうじはなかなか切ろうとしなかった。

ゆうじは何よりも僕のことを心配してくれるヤツなんだ。