僕は、電話を切りたくなかった。


「あ・・あの人も一緒なの?」


気になって眠れないよりはマシだと思って、ユキに問いかける。


「あ!タケのこと?今日は飲んでないから大丈夫だよ。車でみんなのこと送ってくれるから。」


タケ?

送ってもらう?


ここ1週間で、ユキとの間にまた溝ができてしまっている。


あの夜、ラブホで愛を確かめ合い、また僕らの愛は固く結ばれた・・はずだった。

結局のところ・・・体で得た安心感は長続きしないってことか。


「何時になってもいいから、電話ほしい。」


僕の精一杯のその言葉をユキは拒否したんだ。


「今から、まだみんなでいろいろ話し合いするから、本当に遅くなっちゃうから寝てて。」



本当なら、送ってもらうなと言いたかったんだよ、ユキ。



タケって誰だよって言いたかったんだよ。



どうして、僕について何も聞かないの?


・・・って僕はとても不安になったんだよ。


全部我慢して、ただ電話して欲しいと言った僕の気持ちはどうなるの?



僕のやわらかい心には、たくさんの傷がついた。




会いたいといって欲しかったわけじゃない。


でも、ハルは元気?くらい聞いてくれるのが、ユキだったよね。



変わってしまったのは、ユキなのか、僕なのか、2人の気持ちなのか・・・。




こんな時、心底思う。


水野さんに会いたい・・・って。

あの明るい笑顔と、爆裂トークでこの僕の涙を乾かして・・・。